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2025/10/05

みないで楽しむ対話型鑑賞ワークショップを開催しました

― 触覚・音・ことばで「宇宙」を共有する、ノールックみゅーじあむ参加レポート ―

2025年10月5日、横浜赤レンガ倉庫周辺(象の鼻パーク/象の鼻テラス近辺)にて、視覚に頼らずに作品を味わうイベント「ノールックみゅーじあむ」の一企画として、Curascopiumは「視覚に頼らず触覚で宇宙を感じるワークショップ」を実施しました。主催は任意団体ひよこの会、Curascopiumは出展・共催の立場で参加し、当日は視覚障がいのある方と晴眼者が自然に混在する、インクルーシブな鑑賞・対話の場が生まれました。

「見る」を手放すと、世界はどう変わるのか

このワークショップで目指したのは、天文学の知識を一方的に伝えることではありません。

目を使わずに触れて、言葉にして、相手に伝える。 そのプロセスを通じて、宇宙を“自分の感覚”で捉え直し、参加者同士が対話しながら学び合う体験をつくることでした。

視覚の有無を超えて同じルールで取り組めるため、「教える/教わる」ではなく、互いの表現を持ち寄るような空気が自然に生まれていきます。まさに、障がいの有無を超えて感性で対話する場となりました。

触って、言葉で伝えて、宇宙を当てる

当日は、3D惑星模型や点字・点図資料(星座点図、星座早見盤、星座絵カードなど)を用意し、触覚を起点とした体験を中心に構成しました。

ワークの核になったのは、「触覚の特徴を言語化して伝える」こと。

参加者は触った感触を、比喩や感情も交えながら言葉にし、相手がその言葉を頼りに惑星を“選ぶ”ことで、触覚と言葉の往復が起きます。表現は人によって大きく異なり、そこにこそ面白さがありました。

報告書のアンケートでも、次のような声が寄せられています。

  • 「一つ一つの惑星が全然違うのでおもしろかった。」
  • 「地球をさわれて楽しかった。平面で見るより楽しい。」
  • 「伝える人の情報、伝わりやすさが大事だと感じた。」
  • 「人によって表現が違っておもしろい。」

触覚を言葉にするのは簡単ではありません。実際、難易度について「難しかった」「とても難しかった」という回答も多く、特に小学生層では集中が続きにくい場面も見られました。一方で、その“難しさ”自体が、固定観念から離れ、他者の表現の多様性に気づく入口になっていたことも印象的です。

アンケートから見えた成果と課題

今回の実施は、アンケート上でも肯定的な反応が多く、参加者全員が「楽しかった」と回答しています。また、約9割が「違う立場の人とやる面白さ(多様性)」を実感しており、視覚の違いが分断ではなく対話のきっかけになる構造が、一定程度成立したといえます。

同時に、改善点も明確になりました。

  • 年齢層に応じた体験設計(小学生向けは「触る楽しさ」で完結する導入型も検討)
  • 導入説明と実践の時間配分
  • 言語化を支えるツール(カード、例文、音声サポート等)の整備
  • 記録・分析体制の強化(研究的に残せる形へ)

今後に向けて:「触って語る宇宙」を全国へ

今回の結果を踏まえ、Curascopiumでは今後、対象年齢に応じたプログラムの再設計を進めていきます。

小学生向けには“触って終われる”導入型、中高生・大人向けには“言葉で伝える”探究型へ。さらに、学校・科学館・地域イベントとの連携を強め、教育現場での授業導入や巡回型イベントとしての展開も視野に入れています。

「視覚情報に依存しない宇宙体験」は、特別支援教育に限らず、一般の教育や文化鑑賞の場にも十分に広がり得る。今回の実践は、その可能性を確かに示す機会になりました。

より詳しく知りたい方へ(企画書・実施報告書)

本ワークショップについては、目的、教材、運営体制、進行フロー、アンケート分析、成果と課題までを整理した企画書および実施報告書をご用意しています。

授業・WS設計や導入を検討されている方は、ぜひ併せてご覧ください。そしてご連絡ください。

企画書_ノールックみゅーじあむ.pdf

実施報告書_ノールックみゅーじあむ.pdf